『会計の世界史』 田中靖浩 ②
ジャガイモは貧者のパンと呼ばれるように、育ちやすく栄養価も高いので貧しい人々にたいへん重宝されました。
「この人たちに情報提供すれば儲かるぞ」と一儲けをたくらんだのが会計士(Accountant)です。
もともと会計士はそんな破産処理を仕事とする「処理人」として誕生してきました。
会社に会計士の姿が見えると、「危ないのでは?」と噂が立つので、彼らはこそこそと姿を隠して顧問先を訪れていたそうです。
もっと明るい仕事を求めていた会計士に最高のニュービジネスがありました。それが監査(Audit)です。
会計のことを英語でAccountingといいますが、
これはもともとAccount for=「説明する」からきています。
監査のことを英語でAuditといいますが、
これはラテン語のAudit=聞くから派生した言葉です。
監査(Audit)はオーディオ(Audio)と同じく「聞く」という意味です。
経営者は資金調達先に対して結果を「説明」し、それを会計士が監査で「聞く(=チェックする)」という関係になります。
鉄道は単に輸送の手段にとどまらず、
さまざまなニュービジネスをけん引する存在であったわけです。
それは紛れもなく19世紀アメリカの花形産業でした。
実のところ鉄道会社のおかげで証券取引所が発展したともいます。
19世紀の後半、公開株の半分以上が鉄道株であり、
証券取引所は鉄道会社のために存在しているようなものでした。